みなさまこんにちは!ケアプラス北宇和島の看護師の山本です。
朝方の気温が10度以下になったりと「冬もそこまで」と感じる今日、この頃ですがお変わりなくお過ごしでしょうか?
さて、今回は高齢者の味覚について、少しお話をさせてもらったらと思います。
おいしく食べることは、人が生きていく上での楽しみでもあり、健康増進への糸口となります。しかし個人差こそあるものの高齢者の多くに味覚の低下が報告されています。
味覚には、甘味、塩味、酸味、苦味、旨味の5種類の基本の味があり、味覚に対する反応は、舌の表面につぶつぶの小さな突起が多数集まっていて、ここで味を感知するセンサーが働いて脳へ伝え、味の判断をしているのです。
味を感知するセンサーは、新陳代謝を繰り返し約10日間で新しい細胞に生まれ変わります。
◆味覚からからだへ伝える役割とは?
5種類の基本の味は、「味」としての分類だけでなくからだに対して栄養素をバランスよくとり入れる、安全な食をとり入れるための役割も持ち合わせています。
■栄養素を取り入れる。
たとえば甘味は、エネルギー源として元気に活動するもとになり高齢者の低栄養を防ぐために必要です。
塩味のあるものは、ミネラル分として補給し、十分な水分と一緒にとることで脱水症状を防ぐ役割を持ち合わせています。
旨味はたんぱく源として筋肉を作るもとになり、塩分を抑えても食材のおいしさを引き立てると同時に食欲の増進、および消化を促進させる役割があります。
■安全な食を取り入れる。
酸味や苦味は、栄養素というよりも腐ったものや害のあるものを口にしないよう、万一、口にした場合であっても味の異常に気付き、からだの中に取り入れることのないよう味覚を通して安全への判断材料としてきたといわれています。
高齢者の場合、酸味や苦味を活かした食事とは別に味覚の低下などが原因で危険を伴う酸味や苦味を察知できず間違って口にして食中毒になってしまうことがないよう安全な食への配慮は気を抜くことができません。
◆味覚の低下について!
味の感じ方が変わったかな?と思ったら!
味を感じにくくなっていませんか。味の感じ方は体調や気温、空腹感の度合いによっても変化します。少しずつの変化は気づきにくいもの。
しかし、今までおいしいと思っていた味付けが薄いと感じる、おいしいと感じないなど味覚低下により食欲が落ちていないでしょうか。
以前より痩せていないでしょうか。低栄養は命にかかわることがありますので食欲が減った、おいしく感じないと思ったら早めに医師や家族、周囲の方に相談してみましょう。
味覚低下の主な要因とは?
- 加齢によるもの
- 食欲低下による栄養不足
- 唾液分泌量の減少により口が乾いてしまう
- 薬による副作用
高齢者に多い高血圧や生活習慣病の治療薬が亜鉛の吸収を妨げ、排泄されることもあります。
・食事開始時間を決めておこう
・積極的にからだを動かそう
・食事は見た目やおいしそうな匂いで食欲を刺激しよう
味覚の低下をサポートする食事のポイント!
■食欲を促すような工夫をしよう。
高齢者に見られる味覚低下は、食欲が減ることによる栄養不足がかかわっています。味覚が下がれば食事が進まず悪循環となります。空腹感を感じなくても食事時間がきたら少しでも口に運んで栄養を確保しましょう。
■唾液の分泌を促そう。
高齢者の唾液分泌量は減少しやすく口の中が渇いてしまうことで味がわかりにくくなる場合があります。
よく噛むことや梅干し、レモンなど酸味のあるものを使用することで唾液分泌を促します。
また水分を含んだ煮物、蒸し物、汁物などの料理を組み合わせることで食べやすく口の中の水分を補い、味覚低下をサポートします。
■味のセンサーを元気にさせるミネラルを摂ろう。
味を感知するセンサーは、新陳代謝を繰り返し新しい細胞に生まれ変わります。
そのために欠かせないミネラル成分として重要な役割を持つ亜鉛は肉類やごまなどに多く含まれます。
身近な食品に多く含まれいますので動物性食品、植物性食品のいずれか一方に偏らず様々な食品から積極的にとり入れるようにしたいものです。
*亜鉛を多く含む食品:牛肉・豚肉の赤身、チーズ、大豆、納豆、牡蠣、しじみ、種実類(ごま、ナッツ類)など
まとめ!
元気でいるために、おいしいものをおいしいと感じることのできる味覚はとても大切です。しかしやむを得ず、味覚が感じにくくなってしまうことで、食が減るとぐんっと体力も衰えてしまいます。
原因が年齢的なものだけではないため、おいしく食べ心身ともに豊かに過ごすための工夫にも取り組んでいきましょう。
それではみなさま、インフルエンザも流行気に入っておりますので手洗い、うがい等、予防対策もしっかり行いましょう。次回も、宜しくお願いします。