実績報告
  • ケアプラス道後持田 看護師便り ~嚥下動作の仕組み~ 道後持田だより 看護師だより 2023年08月30日

    8月も残すところ1日。溶けてしまいそうな暑い毎日ですがしっかり食事できてますか?

    厳しい残暑に打ち勝てるように栄養は十分摂って下さいね。

     

    ということで、今回は「食べる=嚥下の仕組み」についてお話をしようと思いますのでお付き合い願います^^

    さて、先ずは嚥下がどの様な仕組みで起きているかおさらいしましょう。
    口から入った食べ物は咀嚼されて唾液と混ざり、「食塊」と呼ばれる飲み込みやすい塊りになります →食塊が咽頭の奥に達すると、鼻腔へ流れ込まない様に軟口蓋が上がり、鼻腔と口腔の間を閉鎖します →舌根部は収縮して、謂わゆる「のどぼとけ」である喉頭(気管の入り口)が上がります →更に、喉頭のフタになる喉頭蓋という部分が喉頭を塞ぎ、声帯の隙間である声門は閉じられます。

    ・・・と、この様に食塊を飲み込もうとする時、喉ではパターン化された一連の動作があります。

    そして咽頭が収縮し、食道の入り口にある輪状咽頭筋が弛みます。収縮によって咽頭内は圧力が高まった状態になっていて、咽頭と食道を仕切る役目をしていた輪状咽頭筋が弛んだ瞬間に、食塊がスッと食道へと流れていくのです。

    これらの一連の動作が上手く出来なくなると「嚥下障害」が起こります。
    また、本来通るべき食道ではなく、食べ物などが誤って気管に入ることを「誤嚥」といいます。誤嚥するとむせたり、「誤嚥性肺炎」の原因になったりしますから、喉頭に蓋をし、声門を閉じて、気管を守っています。

    【嚥下障害の症状と原因】
    以下のような症状が出てきたら、嚥下障害を疑う必要があります。
    1 水物がむせやすい
    2 食事が喉につかえる
    3 食事の後に喉が「ゼロゼロ」する(湿った感じの声がれがする)
    4 食事に時間がかかる
    5 体重が減る
    1は、水物は喉に流れ込むスピードが速いため嚥下動作が追いつかず、2は、嚥下の際に必要な筋収縮が弱まることで起こります。
    3は、正常に嚥下すれば食塊が入り込むことのない声帯に、食べかすや液体が乗った状態で生じます。誤嚥の一歩手前とされ、注意が必要です。
    4や5は、嚥下機能に障害が起こると、1回の嚥下で食道に送り込める量が減ってきます。すると、一口の量を少なくして食べることになり、食事に時間がかかります。

    飲み物やスープなどの液体は喉に流れ込むスピードが速く、嚥下動作が間に合わないという場合、とろみをつけて流入する速度が遅くなるように調整します。これは嚥下動作の遅れに対して流入速度を代償させるという考え方から、「代償的アプローチ」と呼ばれます。
    嚥下する時に食道に送り込む力が弱まっている場合では、あんかけやゼリー寄せにして軟らかく滑りのよい状態にすると、飲み込みやすくなります。

    他にも・・・

    温かい物は温かいうちに、冷たい物はよく冷やして食べると温度刺激が嚥下を促す要因となったり、口の中や喉の奥の清潔を保ち喉の粘膜の状態をよくすることで、嚥下反射が起こりやすくなるそうです。

    口の中を清潔に保つことは、誤嚥性肺炎の予防にもつながりますよ。

     

    では、くれぐれも体力を落とさないようにこれからの時期は十分な栄養と休息を取っていただき、日々の中で適度な運動、そして他者とのコミュニケーションを取り入れて過ごして下さいね。